- 日本初のケアラー支援条例
- 埼玉県の取り組み
- 条例におけるケアラーの定義
- 埼玉県のケアラー(介護者等)に関係する「各種相談窓口」
- ほっと一息「介護者サロン」
- 介護者支援について「マンガ」で知る
- ケアラーのバトン「緊急引継ぎシート」
- 統合失調症
- 統合失調症の症状は多彩なため、全体を理解するのが難しいのですが、ここでは幻覚・妄想、生活の障害、病識の障害の3つにまとめてみます。
- 幻覚・妄想
- 幻覚と妄想は、統合失調症の代表的な症状です。幻覚や妄想は統合失調症だけでなく、ほかのいろいろな精神疾患でも認められますが、統合失調症の幻覚や妄想には一定の特徴があります。幻覚と妄想をまとめて「陽性症状」と呼ぶことがあります。
- 幻覚とは、実際にはないものが感覚として感じられることです。統合失調症で最も多いのは、聴覚についての幻覚、つまり誰もいないのに人の声が聞こえてくる、ほかの音に混じって声が聞こえてくるという幻聴(幻声)です。「お前は馬鹿だ」などと本人を批判・批評する内容、「あっちへ行け」と命令する内容、「今トイレに入りました」と本人を監視しているような内容が代表的です。普通の声のように耳に聞こえて、実際の声と区別できない場合、直接頭の中に聞こえる感じで、声そのものよりも不思議と内容ばかりがピンとわかる場合などがあります。周りの人からは、幻聴に聞きいってニヤニヤ笑ったり(空笑)、幻聴との対話でブツブツ言ったりする(独語)と見えるため奇妙だと思われ、その苦しさを理解してもらいにくいことがあります。
- 妄想とは、明らかに誤った内容であるのに信じてしまい、周りが訂正しようとしても受け入れられない考えのことです。「街ですれ違う人に紛れている敵が自分を襲おうとしている」(迫害妄想)「近所の人の咳払いは自分への警告だ」(関係妄想)「道路を歩くと皆がチラチラと自分を見る」(注察妄想)「警察が自分を尾行している」(追跡妄想)などの内容が代表的で、これらを総称して被害妄想と呼びます。時に「自分には世界を動かす力がある」といった誇大妄想を認める場合もあります。妄想に近い症状として、「考えていることが声となって聞こえてくる」(考想化声)「自分の意思に反して誰かに考えや体を操られてしまう」(作為体験)「自分の考えが世界中に知れわたっている」(考想伝播)のように、自分の考えや行動に関するものがあります。思考や行動について、自分が行っているという感覚が損なわれてしまうことが、こうした症状の背景にあると考えられることから、自我障害と総称します。
- 統合失調症の幻覚や妄想には、2つの特徴があります。その特徴を知ると、幻覚や妄想に苦しむ気持ちが理解しやすくなります。第1は、内容の特徴です。幻覚や妄想の主は他人で、その他人が自分に対して悪い働きかけをしてきます。つまり人間関係が主題となっています。その内容は、大切に考えていること、劣等感を抱いていることなど、本人の価値感や関心と関連していることが多いようです。このように幻覚や妄想の内容は、もともとは本人の気持ちや考えに由来するものです。第2は、気分に及ぼす影響です。幻覚や妄想の多くは、患者さんにとっては真実のことと体験され、不安で恐ろしい気分を引き起こします。無視したり、ほうっておくことができず、いやおうなくその世界に引きずりこまれるように感じます。場合によっては、幻聴や妄想に従った行動に走ってしまう場合もあります。「本当の声ではない」「正しい考えではない」と説明されても、なかなか信じられません。
- 生活の障害
- 統合失調症では、先に述べた幻覚・妄想とともに、生活に障害が現れることが特徴です。この障害は「日常生活や社会生活において適切な会話や行動や作業ができにくい」という形で認められます。陰性症状とも呼ばれますが、幻覚や妄想に比べて病気による症状とはわかりにくい症状です。患者本人も説明しにくい症状ですので、周囲から「社会性がない」「常識がない」「気配りに欠ける」「怠けている」などと誤解されるもととなることがあります。 こうした日常生活や社会生活における障害は、次のように知・情・意それぞれの領域に分けて考えると理解しやすいでしょう。
- 会話や行動のまとまりが障害される症状です。日常生活では、話のピントがずれる、話題が飛ぶ、相手の話のポイントや考えがつかめない、作業のミスが多い、行動の能率が悪い、などの形で認められます。症状が極端に強くなると、会話や行動が滅裂に見えてしまうこともあります。こうした症状は、注意を適切に働かせながら会話や行動を目標に向けてまとめあげていく、という知的な働きの障害に由来すると考えられます。
- 自分の感情についてと、他人の感情の理解についての、両者に障害が生じます。自分の感情についての障害とは、感情の動きが少ない、物事に適切な感情がわきにくい、感情を適切に表せずに表情が乏しく硬い、それなのに不安や緊張が強く慣れにくい、などの症状です。また、他人の感情や表情についての理解が苦手になり、相手の気持ちに気づかなかったり、誤解したりすることが増えます。こうした感情の障害のために、対人関係において自分を理解してもらったり、相手と気持ちの交流をもったりすることが苦手となります。
- 物事を行うために必要な意欲が障害されます。仕事や勉強をしようとする意欲が出ずにゴロゴロばかりしてしまう(無為)、部屋が乱雑でも整理整頓する気になれない、入浴や洗面などの身辺の清潔にも構わない、という症状として認められます。さらにより基本的な意欲の障害として、他人と交流をもとうとする意欲、会話をしようとする意欲が乏しくなり、無口で閉じこもった生活となる場合もあります(自閉)。
- 病識の障害
- 病識とは、自分自身が病気であること、あるいは幻覚や妄想のような症状が病気による症状であることに自分で気づくことができること、認識できることをいいます。統合失調症の場合には、この病識が障害されます。多くの場合、ふだんの調子とは異なること、神経が過敏になっていることは自覚できます。しかし幻覚や妄想が活発な時期には、それが病気の症状であるといわれても、なかなかそうは思えません。症状が強い場合には、自分が病気であることが認識できない場合もあります。治療が進んで病状が改善すると、自分の症状について認識できる部分が増えていきます。ほかの患者さんの症状については、それが病気の症状であることを認識できますから、判断能力そのものの障害ではないことがわかります。自分自身を他人の立場から見直して、自分の誤りを正していくという機能の障害が背景にあると考えられます。
日本初のケアラー支援条例
埼玉県の取り組み
条例におけるケアラーの定義
ケアラーとは高齢、身体上、精神上の障害又は疾病等により援助を必要とする親族、友人その他の身近な人に対して、無償で介護、看護、日常生活上の世話その他の援助を行っている人のことを言います。
ケアラーの中でも、18歳未満の人はヤングケアラーと定義されています。
埼玉県のケアラー(介護者等)に関係する「各種相談窓口」
(1)健康
- 埼玉県救急電話相談(大人・小児の急病時の対処方法や受診の必要性について、看護師が電話で相談に応じます。)
- 休日・夜間の急病などの時の医療機関(各地域の夜間急患センターの一覧が掲載されています。診療時間や診療内容などを確認し、受診してください。)
- 医療機関や薬局の情報について(医療機関、薬局に関する情報を掲載しています。)
- こころの相談窓口(心が疲れたとき、一人で抱え込まず、まずは相談してください。)
(2)高齢者
- 地域包括支援センター(地域包括支援センターは、高齢者の生活を支える役割を果たす総合機関として、各市町村が設置しています。お住まいの最寄りの地域包括支援センターへご連絡ください。)
- 認知症電話相談窓口及び交流集会(認知症について周囲に話しづらい悩み事がある方はご相談ください。また、認知症の方とそのご家族の方の集いの場もございます。是非ご利用ください。)
(3)障害
- 障害者の福祉ガイド(福祉サービス等を活用し、より豊かで、安心、安全な生活を送っていただくため、その概要や相談窓口について取りまとめたものです。)
(4)疾病
- 難病相談支援センター(電話や面接による相談、患者会などの交流促進、就労支援など様々なニーズに対して、難病相談支援員が患者さんやご家族の相談を受け付けています。)
(5)子育て
- 地域子育て支援拠点(子育て中の親子が気軽に集い、相互交流や子育ての不安・悩みを相談できる場として、各市町村に設置されています。)
- 子どもスマイルネット(原則18歳未満の子供に関わる様々な悩みについて、電話相談を受ける窓口です。)
(6)仕事
- 仕事と介護・子育て・治療の両立支援相談窓口(介護と仕事、子育てと仕事及び病気治療と仕事の両立で悩んでいる方はぜひ相談してください。)
- 職業紹介と就職相談(ハローワークや県の就業支援機関に関する情報を掲載しています。)
(7)教育
- 学校関係の悩み事に関する相談窓口(不登校など学校生活のお問い合わせ・ご相談はこちらにお願いします。)
ほっと一息「介護者サロン」
介護者同士、介護の状況や悩み、日々の生活や思いについて語り合ってみませんか。同じ立場の介護者同士、話してみると心がすっきりしますよ。
お住いの市町村介護担当課へお問い合わせください。
介護者支援について「マンガ」で知る
介護者支援や地域包括ケアシステム、高齢者の社会参加、認知症の理解など、豊富なテーマを全11巻のマンガで分かりやすく紹介しています。是非ご覧ください。
マンガは下記サイトからご覧になれます。
ケアラーのバトン「緊急引継ぎシート」
新型コロナウイルス感染症が拡がる中、介護者は感染した際、重症化するリスクが高い人々をケアしています。また、介護者自身も日常的な疲労やストレスなどにより、感染リスクは高い状態にあります。
一般社団法人日本ケアラー連盟では、介護者が入院・ホテル療養した場合に介護を引き継ぐ方の氏名や連絡先、要介護者等に関する引き継ぎ事項などを明記し、関係者とあらかじめ相談し、引き継ぎ体制を確認できる「緊急引継ぎシート」を作成しております。
引き継げる介護者が身近にいない場合でも、救急や医療・福祉関係者などが確認できるように準備しておくことが大切です。是非ご活用ください。
統合失調症
統合失調症は、およそ100人に1人弱がかかる頻度の高い病気です。「普通の話も通じなくなる」「不治の病」という誤ったイメージがありますが、こころの働きの多くの部分は保たれ、多くの患者さんが回復していきます。
高血圧や糖尿病などの生活習慣病と同じように、早期発見や早期治療、薬物療法と本人・家族の協力の組み合わせ、再発予防のための治療の継続が大切です。脳の構造や働きの微妙な異常が原因と考えられるようになってきています。
統合失調症は、幻覚や妄想という症状が特徴的な精神疾患です。それに伴って、人々と交流しながら家庭や社会で生活を営む機能が障害を受け(生活の障害)、「感覚・思考・行動が病気のために歪んでいる」ことを自分で振り返って考えることが難しくなりやすい(病識の障害)、という特徴を併せもっています。
多くの精神疾患と同じように慢性の経過をたどりやすく、その間に幻覚や妄想が強くなる急性期が出現します。
新しい薬の開発と心理社会的ケアの進歩により、初発患者のほぼ半数は、完全かつ長期的な回復を期待できるようになりました(WHO 2001)。
以前は「精神分裂病」が正式の病名でしたが、「統合失調症」へと名称変更されました。