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【薬物依存症】麻薬について考える②

 

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ポルトガルの事例

ポルトガルの薬物対策「非厳罰化」

2001年、世界で初めて個人使用のための麻薬の所持・使用を罪に問わない法律を可決した。

個人使用のための少量保持:平均的な10日分の使用量。

 

20世紀中、ポルトガルでは若者たちの薬物使用が、結構深刻だったんです。そこで、さまざまな科学的な知見を集めて、2001年に大英断を下しました。すべての薬物について、少量の所持や使用は非犯罪化したんですよ。合法化ではなくて、非犯罪化。つまり、その人を捕まえて刑務所に入れるのではなく、プログラム受けない? とか治療受けない? とか説得をするんです。それから、薬物依存症の人たちを雇用すると助成金が出たり、薬物依存者が手に職をつけて仕事を始める時に少額の融資をしたりとか、社会の中で支える仕組みをつくっていきました。その10年後、犯罪が減ったのは、非犯罪化したので当たり前なんですけど、薬物によって死ぬ人がぐっと減ったし、HIV感染も減ったし、何よりも10代で薬物に手を出す人が減りました。社会も安全になりました。この成功を見て、国際的には、犯罪とか刑罰ではなくて健康問題として見直そうっていう考え方が主流になっています。日本の場合には、なかなかそうはなっていかないのが現状です

 

natgeo.nikkeibp.co.jp

 

 

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スイスの事例

スイスは公式にヘロインを処方する

政府と医師が管理するヘロイン投与

「これは純度100%。路上で売っているのは10%ほどだ」 

首都ベルンにある、ヘロイン依存者を支援するNGO「KODA-1」。共同ディレクターのフィリップ・ステットラ(46)は、小瓶に入った粉末状ヘロインをかざしてそう言った。医療用純度100%のヘロイン(ジアモルヒネ)は1グラム約20スイスフラン(約2300円)だが、路上では純度10%程度で50スイスフランするという。 

スイスには、医師の管理下でヘロインを処方する治療(SIH)がある。ここでは、スイス政府の委託を受け、登録した約160人の依存者にヘロインを処方。大半は1日2回、ここで自ら注射する。年中無休で、近くの大学病院の精神科医3人が交代で診察や処方を担当する。週末は看護師が医師と連絡を取りながら処方、監督する態勢をとる。各部屋は厳重に施錠。患者は入室時、指紋認証を求められることもある。 

利用者は平均44歳、7割弱が男性だ。平均17年間継続してヘロインを使用し、多くが薬物の問題とメンタルの問題を抱えているという。ステットラは「私たちの目標はまず、彼らが生き延びること。毎日ここに来て薬をもらって使い、帰って寝る。それを繰り返せば、誰かを困らせたり、罪を犯したりしない。本当の社会への再包摂ではないが、外に放っておくよりはいい」と話す。 

スイスでは一部の大麻を除き、麻薬などの所持や使用は法律上は禁止だが、「薬物問題は一義的に犯罪行為ではなく、健康問題、公衆衛生問題ととらえる」(連邦内務省公衆衛生局)。SIHは治療という位置づけで例外的に認めている。

スイスはSIHを1994年に試験導入、98年に本採用。ヘロインは依存性が強く、薬を手に入れるために盗みや売春などの罪を犯しやすい。ならば健康保険を適用し、医師の管理下で処方・摂取させた方が本人や地域への害が少なくなる。政府がヘロインの供給の一部を管理することで、犯罪組織への打撃にもなるという考えからだ。

人口約850万のスイスで現在、約1700人がSIHを受ける。18歳以上で、2年以上継続してヘロインを使用、メタドン維持療法などの治療で効果が得られなかった重篤な依存者であることなどが条件だ。 

連邦内務省公衆衛生局でSIHを担当する医師カトリーヌ・リテ(53)は「SIHでは、患者は心理療法、心理社会学療法など全体的なケアを受けなければならない。私たち医師は患者に寄り添い、時期ごとに必要なものを的確に提供しなければならない」と話す。 

 

globe.asahi.com

 

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日本の事例

www.youtube.com

 

薬物を使っている国民は何人くらいか?

日本国内に薬物使用者は何人いるのでしょうか。2017年に実施された一般住民を対象とした全国調査1によれば、覚せい剤大麻といった薬物を少なくとも1回以上使ったことがある国民(15歳から64歳が対象)は、全国で約216万人と推計されています。内訳で最も多いのが大麻です。使用者人口は、全国で約133万人と推計されています。

 

図1に1995年から2017年までの薬物使用の生涯経験率(これまでに1回でも使った経験ある人が占める割合)を示しました。かつては有機溶剤(シンナーなど)が多かったものの、現在では減少傾向にあります。その一方で大麻が増加傾向にあります。大麻使用を誘われる機会も増加していることが報告されているほか、10歳~30歳代の若年層では「少しなら構わない」、「個人の自由」と考える者が増えていることも明らかにされています。これら事実は、大麻取締法違反の検挙者や押収量の増加とも一致する結果であり、国内における大麻使用が拡大していることを裏付けるデータと言えます。

 

一方、2011年頃に「合法ハーブ」などの名称で登場した危険ドラッグは、乱用者による事件や事故を引き起こし、一時社会問題となっていましたが、法的な取り締まりが強化された現在では、減少傾向にあります。また、覚せい剤とMDMAは大きな変化は認められず、横這いで推移しています。

 

【図1】一般住民における薬物使用の生涯経験率の推移(1995年~2017年)

 

薬物依存症の患者さんはどのような薬物に依存しているのか?

では、薬物使用を繰り返し、薬物依存症となった患者は、どのような薬物に依存しているのでしょうか。精神科医療施設を対象とした全国調査2によれば、覚せい剤を主たる薬物とする患者が半数近くを占めることが報告されています。ここでいう「主たる薬物」とは、現在の精神科的症状に関して、臨床的に最も関連が深いと主治医が判断した薬物のことです。図2に1987年から2016年までの動向を示しました。覚せい剤症例が一貫して多いのに対し、有機溶剤症例は年々減少傾向にあることがわかります。2012年に登場した危険ドラッグ症例は、2014年にピークを迎え、その後急激に減少しています。一方、睡眠薬抗不安薬(多くがベンゾジアゼピン系薬剤)を主たる薬物とする症例がじわじわと増加しており、現在では覚せい剤に次ぐ患者群になっています。なお、一般住民で最も使用されていた大麻を主たる薬物とする患者は、患者全体の数パーセントにとどまっています。

 

【図2】 精神科医療施設における薬物使用障害患者の「主たる薬物」の推移(1987年~2016年)

www.ncasa-japan.jp