生きるは作業のつみかさね

作業をすれば元気になれる!作業療法ノススメ。

公益社団法人「認知症の人と家族の会」高見国生(たかみくにお)さん。新聞連載ラストラン。最終回

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認知症と歩む(高見国生さん)最終回

 

私からのメッセージその4。

 「介護の経験は人生を豊かにする」

 介護は経験せずにすめばそれに越したことはありませんが、すればそれなりにその後の人生の役に立つものです。それは次の3つの点です。

 第1は、人間としてのやさしさと思いやりが身につくこと。認知症の人の介護は、相手の心の内を想像しその気持ちに添うことです。最初は戸惑い、怒りや悲しみに包まれますが、やがてこちらがやさしく接すれば、相手も穏やかになることに気づきます。そうして、やさしさと思いやりの介護を会得していきます。この経験は、その後の人生の大きな宝物になります。

 第2は、今生きている日々を大切に生きようと勇気が湧くこと。介護の経験は、ヒトはかならず老いていくこと、そしてかならず死んでいくことを実感します。どうすることもできなくて、泣くしかないときがあることも経験します。しかしだからこそ、日々を大切にしなければいけないことを身に沁(し)みて思います。自分が生きる力を与えてくれます。

 第3に、生涯にわたって心を許せる友人が得られること。同じ悲しみ、同じ苦労を経験した者どうしは心の深いところでつながり合えます。介護中も介護終了後も、励ましあい助けあえる生涯の友に出会えます。「認知症の人と家族の会」など、介護者の集まりには積極的に参加しましょう。

 さて、平成29年4月から大阪本社版で始まったこの連載は、途中から全国版に広げていただいて書き続けてきました。読んでいただきありがとうございます。この連載でみなさんの介護の経験が、「苦労はしたけど私の人生は豊かになった」と思ってもらえるようになったら、こんなにうれしいことはありません。みなさん、どうかお元気で。=おわり

 たかみ・くにお 認知症の養母を介護し、昭和55年に「認知症の人と家族の会」を設立。平成29年まで代表を続け、その後は顧問を務めたが今年3月に退任。同会は全国に支部がある。