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【前頭側頭型認知症】難病医療費助成についての考察。

難病医療費助成についての考察

 

 

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難病医療費助成について

前頭側頭型認知症

1. 「前頭側頭葉変性症」とはどのような病気ですか

大脳の前頭葉や側頭葉を中心とする神経細胞の 変性 ・脱落により、人格変化や行動障害、言語障害などが 緩徐 に進行することを特徴とする 神経変性 疾患です。また、経過中にパーキンソニズムや運動ニューロン症状をはじめとする種々の程度の運動障害を認める場合のあることも特徴です。アルツハイマー病に比べて疾患の頻度は低いのですが、65歳未満で発症する若年性認知症の比率の多いことが特徴で、臨床的にも物忘れではなく、行動障害や言語障害が中心となるため、診断の遅れる症例や社会的に問題となる症例を多く認めることも特徴です。さらに就労年齢や子育て中の年齢で発症することも多いため、経済面での負担や子供への対応などが大きな問題になることがあります。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

正確な頻度は不明ですが、約12,000人程度の患者さんが日本にいると推定されています。

3. この病気はどのような人に多いのですか

主に若年期(40歳~64歳)に発症します。特定の職業に多い、特定の地域に多いということはありません。

4. この病気の原因はわかっているのですか

最近の研究の進歩により、タウ、TDP-43、FUSと呼ばれるタンパク質が変性し、蓄積することが発症に関連することが分かってきました。その中でもタウとTDP-43の頻度が高いことが知られています。前頭葉や側頭葉に限局した神経細胞の脱落を認め、その残存神経細胞にタウやTDP-43、FUSなどの異常蛋白が蓄積するのですが、なぜこのような変化が起こるかは分かっていません。

5. この病気は遺伝するのですか

家族歴は、欧米では30-50%に認めます。日本ではほとんど認めません。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

人格変化・行動障害と、言語の障害が2大症状として出現してきます。人格変化や行動障害の具体的な事例としては、抑制が効かない(社会的に不適切な行動、礼儀やマナーが無くなる、衝動的で分別が無い、周囲の目を気にしないなど)、無関心や無気力、共感の欠如(風邪で寝込んでいる妻に対して、いつも通りに平然と食事を要求するなど)、同じ行動や言葉を繰り返す(同じコースを散歩する、同じ食事のメニューに 固執 する、時刻表的な生活パターンを過ごすなど)、食事や嗜好の変化(アイスクリームや饅頭を何個も食べる、ご飯に醤油や塩をかける、珈琲に何杯も砂糖を入れるなど)などを認めます。
言語障害の具体的な事例としては、富士山や金閣寺の写真を見せても、山や寺ということは理解できても特定の山や寺と認識できない、信号機を提示しても「信号機」と呼称ができず、「見たことない」と言い、その後「青い電気がついとるな」などと答えたりする等の、単語の理解障害に基づく物品の呼称障害が出てきます。
人格変化・行動障害、言語の障害以外にも、パーキンソニズム(ふるえる、動作がゆっくりとなる、関節がかたくなる、転びやすくなる)や運動ニューロン症状(筋力の低下、筋肉の萎縮、身体のつっぱり)を認めることがあります。これらの症状は経過中に種々の程度で合併しうることが知られています。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

根本的な治療方法は未開発ですが、基礎研究レベルでは、様々な取り組みがなされています。
具体的な対応方法として、行動障害に対しては、抗うつ薬である選択的セロトニン再取り込み阻害薬が一部の症例に有用であることが報告されています。また症例報告レベルではありますが、抗精神病薬や抗てんかん薬が有効となる可能性があります。しかし副作用に対する十分な留意が必要です(これらの薬は、保険適応外の使用となりますので、主治医とよく相談して下さい)。 認知機能 障害については、本疾患で高頻度に認める遂行機能(ものごとを計画し、順序だてて実行する機能)障害、記憶障害、失語に対して有効性を証明出来た治療薬はありません。また、アルツハイマー認知症で有用であるコリンエステラーゼ阻害薬は、むしろ一部の症状を悪化させる可能性もあるため注意が必要です。
エビデンスは少ないものの、行動療法をはじめとする非薬物療法も有用で、治療の中心となりえます。特に患者さんの保たれている機能を活かすことや、それまでの生活様式を利用することで行動異常の軽減、さらには介護者の負担を減らすことも可能な場合があります。また、患者さんの行動異常や言語障害の評価に基づいて、それぞれの患者さんの持っている症状に対する理解をご家族が深めていくことや、適切な対応方法を修得していただくことも期待されます。
運動障害としては、運動ニューロンの障害に伴う筋萎縮や筋力低下を示すことがあり、この場合には特に呼吸不全や 嚥下障害 の出現に十分留意する必要があります。また、動作がゆっくりとなる、関節が固くなる、転びやすくなる、手足や顔が震えるといったパーキンソン症状を示すことがあります。パーキンソン病に有効であるレボドパ製剤は、本疾患で認めるパーキンソン症状に対しては、効果が限定的か無効であることが多いという特徴があります。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

進行性の経過を示します。進行の様式としては、行動異常や言語障害自体が悪化する場合と、他の運動症状が合併してくる場合などがあります。
行動異常の重症度は(0が最も軽く、4が最も重い)、
   0:社会的に適切な行動を行える。
   1:態度、共感、行為の適切さに最低限であっても明らかな変化を認める。
   2:行動、態度、共感、行為の適切さにおいて、軽度ではあるが明らかな変化を認める。
   3:対人関係や相互のやり取りにかなり影響を及ぼす中等度の行動変化を認める。
   4:対人相互関係が総て一方向性である高度の障害を認める。
のように分類されます。
また、言語障害の重症度は、同様に
   0:正常な発語、正常な理解が可能。
   1:最低限だが明らかな喚語障害(言いたい語が出てこない)を認める。通常会話では、理解は正常。
   2:しばしば生じる発語を大きく阻害するほどではない程度の軽度の喚語障害、軽度の理解障害を認める。
   3:コミュニケーションを阻害する中等度の喚語障害や、通常会話における中等度の理解障害を認める。
   4:高度の喚語障害、言語表出障害、理解障害により実質的にコミュニケーションが不能の状態。
のように分類されます。
行動異常や言語障害が、全てこのような経過で進行するわけではありません。例えば、早期から3レベルの状態を認める場合や、経過中に、無気力や無関心といった症状が強くなり、行動異常が目立たなくなる場合もあります。
パーキンソン症状や運動ニューロン症状は全経過を通じて全く認めない患者さんから、早期に認める患者さんまで様々です。いずれの病態も進行すると嚥下障害の出現や寝たきり、繰り返す感染症などに関連しますし、運動ニューロン症状は呼吸筋麻痺の出現にもつながり、 予後 に大きく影響を及ぼす原因となります。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

お子様を含めたご家族の病気に対する理解が重要となります。これまで述べてきたように、本疾患では、アルツハイマー認知症とは異なり、認知症に伴う症状と気づきにくい様々な症状を呈します。また、若年発症の場合には、中々認知症に思いが巡らないこともあります。まずは、どの症状が本疾患に伴うものかを把握するように務めて下さい。
病気の理解が進むと対応方法が改善します。例えば、口に食べ物を詰め込む行動やテーブルマナーの悪さ、介護への抵抗、落ち着きのなさ等が、著しい介護負担と関連していることも知られていますが、症状の理解と適切な対応方法の工夫によって、患者さんの負担はもちろんですが、ご家族の負担が大きく減る場合もあることが知られています。
前頭側頭葉変性症では、初期には記憶は比較的良く保たれていますし、高度の障害を示す言語障害を呈しても、良く調べると一部保たれている言語機能もあります。残されている機能を上手に利用した対応を進めることで、介護負担の改善や、患者さんと介護者の生活の質(QOL)の維持・改善に繋がることもあります。また、決まった時間になると外出してしまい無銭飲食をして周囲に迷惑をかけるような行動も、本疾患へ対応可能なデイケア施設の利用や短期入所などにより、社会的にトラブルとなっている行動を別の問題の少ないもしくは問題の無い行動へと変化させることが可能となる場合もあります。
運動症状については、嚥下障害に伴う窒息や誤嚥性肺炎、 姿勢反射障害 に伴う転倒、運動ニューロン病変による呼吸不全や四肢筋力低下などに注意する必要があります。
ご家族を含めて社会的に孤立しないことも大切です。平成27年に、本疾患は指定難病となりました。公的支援を適切に受け、疾患に関する情報収集を行い、会社や社会との相互理解を進めていくことが大切です。

 

関連ホームページのご紹介

若年性認知症コールセンター

もしかして若年性認知症?|若年性認知症コールセンター

y-ninchisyotel.net


 
若年性認知症サポートセンター

若年認知症サポートセンター

jn-support.com


 
健康長寿ネット

www.tyojyu.or.jp

 

 

指定難病患者への医療費助成制度のご案内

 

医療費助成の対象となる方
申請から医療費受給者証交付の流れ
申請に必要となる書類(概要)
認定の有効期間と期間内の変更申請
患者さんの自己負担上限額について
自己負担上限額管理票による自己負担額の管理
難病指定医について
指定医療機関について
軽症高額該当について
「高額かつ長期」の認定について
人工呼吸器装着者の負担上限月額は1,000円です

 

医療費助成の対象となる方

「難病法」による医療費助成の対象となるのは、原則として「指定難病」と診断され、「重症度分類等」に照らして病状の程度が一定程度以上の場合です。
確立された対象疾病の診断基準とそれぞれの疾病の特性に応じた重症度分類等が、個々の疾病ごとに設定されています。

           

申請から医療費受給者証交付の流れ


※クリックすると画像が拡大されます。
1.申請
申請に必要な書類を揃えて都道府県・指定都市に申請します。
(受付窓口は、都道府県・指定都市により異なりますので、お住まいの都道府県・指定都市の窓口に

お問い合わせください。)
2.都道府県・指定都市による審査
都道府県・指定都市は(1)病状の程度が認定基準に該当するとき、または、(2)認定基準に

該当しないが高額な医療の継続が必要な人(軽症高額該当)と認める場合に支給認定を行います。
3.都道府県・指定都市による医療受給者証の交付
(1)申請から医療受給者証が交付まで約3か月程度かかります。その間に指定医療機関において

かかった医療費は払戻し請求をすることができます。
(2)審査の結果、不認定となることがあります。その場合は、都道府県・指定都市から不認定通知が

送付されます。

      

申請に必要となる書類(概要)


※クリックすると画像が拡大されます。

      

認定の有効期間と期間内の変更申請

支給認定の有効期間は、原則1年以内で、病状の程度・治療の状況から医療を受けることが必要と

考えられる期間です。ただし、特別な事情があるときは、1年3か月を超えない範囲で定めることが

できます。有効期間を過ぎて治療継続が必要な場合は更新の申請を行います。
有効期間内に、一定の申請内容や負担上限月額算定のために必要な事項の変更があった場合は届出が

必要です。また、支給認定された(1)指定医療機関、(2)負担上限月額、(3)指定難病の名称を

変更する必要がある場合には、変更の申請をすることができます。

      

患者さんの自己負担上限額について


※クリックすると画像が拡大されます。

      

自己負担上限額管理票による自己負担額の管理


※クリックすると画像が拡大されます。

自己負担上限月額は、受診した複数の指定医療機関の定率負担割合合算額に適用されます。このため、

医療受給者証とともに交付される「自己負担上限額管理票」で管理されます。
(1)各指定医療機関では、受診のつど自己負担上限月額の範囲内で医療費の2割(又は1割)を

徴収します。
(2)患者は、指定医療機関を受診のつど、徴収額を管理票に記入してもらいます。
(3)自己負担累積額が自己負担上限月額に達した場合は、その時の指定医療機関が確認し、

その月に負担上限月額を超える費用徴収は行われません。

      

難病指定医について

指定難病の制度では、都道府県・指定都市から指定を受けた指定医に限り、特定医療費支給認定の

申請に必要な診断書を作成することができます。
指定医には、新規申請及び更新申請に必要な診断書の作成ができる「難病指定医」と、更新申請に

必要な書類のみ作成できる「協力難病指定医」の2種類があります。

※難病情報センターホームページでは下記ページにて各都道府県・指定都市の指定医について

ご案内させていただいております。
https://www.nanbyou.or.jp/entry/5309

      

指定医療機関について

指定医療機関とは、都道府県・指定都市から指定を受けた病院・診療所、薬局、

訪問看護ステーションです。
指定難病の医療費の給付を受けることができるのは、原則として指定医療機関で行われた

医療に限られます。

※難病情報センターホームページでは下記ページにて各都道府県・指定都市の指定医療機関について

ご案内させていただいております。
https://www.nanbyou.or.jp/entry/5308

      

軽症高額該当について

症状の程度が疾病ごとの重症度分類等に該当しない軽症者でも、高額な医療を継続することが必要な人は、

医療費助成の対象となります。

「高額な医療を継続することが必要」とは、医療費総額が33,330円を超える月が支給認定申請月以前の

12月以内(※)に3回以上ある場合をいいます。
例えば、医療保険3割負担の場合、医療費の自己負担がおよそ1万円となる月が年3回以上ある場合が

該当します。
※(1)申請月から起算して12月前の月、または(2)指定難病を発症したと難病指定医が認めた月を

比較して、いずれか後の月から申請日までの期間が対象です。なお、「33,330円」には

入院時食事(生活)療養の標準負担額は含みません。

      

「高額かつ長期」の認定について

高額な医療が長期的に継続する患者については、一般所得・上位所得について、軽減された負担上限額が

設定されています。対象となるのは、指定難病についての特定医療の月ごとの医療費総額が5万円を

超える月が、申請日の月以前12月で既に6回以上ある患者です。
例えば、医療保険の2割負担の場合、医療費の自己負担が1万円を超える月が年間6回以上ある場合が

該当します。

「軽症高額」と「高額かつ長期」の詳細はこちら

      

人工呼吸器装着者の負担上限月額は1,000円です

人工呼吸器その他の生命の維持に必要な装置を装着していることにより特別の配慮を必要とする患者に

ついては、負担上限月額は所得階層にかかわらず月額1,000円です。
対象となる要件は、支給認定を受けた指定難病により、(1)継続して常時生命維持管理装置を装着する

必要があり、かつ(2)日常生活動作が著しく制限されていることで、次のような具体例が想定され

ています(要件に適合するかは個別に判断されます)。
1.気管切開口または鼻マスク若しくは顔マスクを介して、人工呼吸器を装着している神経難病等の患者
2.体外式補助人工心臓を装着している末期心不全等の患者等