パーキンソン病
1.「パーキンソン病」とはどのような病気ですか
振戦(ふるえ)、動作緩慢、筋強剛(筋固縮)、姿勢保持障害(転びやすいこと)を主な運動症状とする病気で、50歳以上で起こる病気です。時々は40歳以下で起こる方もあり、若年性パーキンソン病と呼んでいます。
2.この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
10万人に100人~150人くらいです(1000人に1人~1.5人)。60歳以上では100人に約1人(10万人に1000人)で、高齢者では多くなりますので、人口の高齢化に伴い患者さんは増加しています。
3. この病気はどのような人に多いのですか
嗜眠性脳炎などの後遺症として起こった記録もありますが、ほとんどの方では特別な原因はありません。神経細胞の中にαシヌクレインというタンパク質が凝集して溜まることが原因となることが分っていますが、食事や職業、住んでいる地域など、原因となる特別な理由はありません。
4.この病気の原因はわかっているのですか
大脳の下にある中脳の黒質ドパミン神経細胞が減少して起こります。ドパミン神経が減ると体が動きにくくなり、ふるえが起こりやすくなります。ドパミン神経細胞が減少する理由はわかっていませんが、現在はドパミン神経細胞の中にαシヌクレインというタンパク質が凝集して蓄積し、ドパミン神経細胞が減少すると考えられています。このαシヌクレインが増えないようにすることが、治療薬開発の大きな目標となっています。
5. この病気は遺伝するのですか
遺伝はしませんが、若く発症される方の一部では家族内に同じ病気の方がおられ、遺伝子が確認されています。
6. この病気ではどのような症状がおきますか。
ふるえ(振戦)、筋強剛(筋固縮)、動作緩慢、姿勢保持障害が主な運動症状です。
ふるえは静止時の振戦で、椅子に座って手を膝に置いている時や歩いているときに、手に起こります。動かすとふるえは小さくなります。筋強剛は自分ではあまり感じませんが、他人が手や足、頭部を動かすと感じる抵抗を指しています。
動作緩慢は動きが遅くなることで、同時に細かい動作がしにくくなります。最初の一歩が踏み出しにくくなる「すくみ」が起こることもあります。
姿勢保持障害はバランスが悪くなり転倒しやすくなることです。姿勢保持障害は病気が始まって数年してから起こります。最初から起こることは無く、病気が始まって2年以内に姿勢保持障害が起こるときには、進行性核上性麻痺などの パーキンソン症候群 の可能性があります。
運動症状のほかには、便秘や頻尿、発汗、易疲労性(疲れやすいこと)、嗅覚の低下、 起立性低血圧 (立ちくらみ)、気分が晴れない(うつ)、興味が薄れたり意欲が低下する(アパシー)などの症状も起こることがあり、非運動症状と呼んでいます。
①どう生きるか考える
東京都パーキンソン病友の会、会長。
体験農園通いが楽しみ。
収穫もできるし「野菜作りの仲間に会える」。
「できないことを悩むより、どう生きていくかを考える方が大切」
たとえ発症しても、趣味や仕事、介護、子育てなどをあきらめる必要はありません。
治療の目的は、自分が望む生活を送れるよう症状を軽くすることです。
②ダンスで効果
踊るリハビリテーション!「ニューロダンス」の取り組み
③睡眠障害について
パーキンソン病では運動障害に加えて、さまざまな睡眠障害が病初期から進行期までにしばしば認められます。不眠、レム睡眠行動異常症、夜間頻尿、下肢静止不能症候群(むずむず脚症候群)、周期的四肢運動症、睡眠時無呼吸、などさまざまな種類の睡眠時異常が単独に、または組み合わさって起こることで睡眠が障害されます。
それぞれの睡眠障害については後に簡潔に述べますが、パーキンソン病において最も多く報告されている障害は断続的睡眠、すなわち、まとまった深い睡眠が得られず、睡眠がしばしば中断されるという現象で、パーキンソン病患者の40%にみられたと報告されています。この断続的睡眠はパーキンソン病の初期からみられ、病期が進むにつれて頻度が増します。
その原因にはまたさまざまな要因がありますが、特に運動症状(動きにくさ)の夜間または早朝における増悪、パーキンソン病に固有の痛み、むずむず足症候群、睡眠時無呼吸、抑うつ状態、夜間頻尿などが重要な原因であると考えられています。
パーキンソン病と衝動制御障害
~買い物をやめられない、ギャンブルをやめられない~
パーキンソン病の治療中に、賭博にはまって止められない(病的賭博)、性的な欲求を抑えられない(病的性欲)、必要もないのに、買い物を止められない(病的ショッピング)、食べても食べてもまだ食べる(過食)など、これらの症状を自制出来なくなることがあります。これを衝動制御障害と言います。
また他人から見ると、意味のないような行動、動作を長時間にわたり繰り返す(庭の草むしりをずっと、使わない編み物を沢山いくつも編む、など)、パンディングといった行動異常を認める方もいらっしゃいます。
衝動制御障害は成人の約1%に認められますが、パーキンソン病の方に合併する割合はさらに高いと考えられています。
では、どういった方がそうなりやすいか、報告されています。
若くして発症した男性のパーキンソン病の方、もともと好奇心旺盛な方、物事を熟慮せずすぐ行動しちゃう方、うつ病やアルコール依存の既往のある方なのです。
またドパミン受容体刺激薬の中に、こういった衝動制御障害を来しやすい薬もあります。
よくよくお話をお伺いしないと医者が気づいていないこともあります。ご家族の方も遠慮なくおっしゃってください。
若年性パーキンソン病の患者会
「きぼうの会」
全パーキンソン病患者の約10%が40歳代までの発症の若年性パーキンソン病患者といわれています。
稀少故に、周囲の理解を得られず孤独に悩んでいる患者も少なくないです。
現代の医学では、完治が出来ず尚進行する難病のため、発症年齢が低いほど、将来の不安は大きくなります。
長い闘病生活の中の、就労問題、経済問題、家族関係、結婚や出産問題など、困難なことが沢山あります。
「きぼうの会」は、医師、看護師、臨床心理士、社会保険労務士、就労コーディネーター等専門家を交えてのセミナー開催や患者同士、介護者同士の情報の共有の場を提供することにより、患者のQOLの向上と将来に「きぼう」をもって社会の一員として暮らせることを目指しています。
日常生活に困ったとき、どう対処すればよいか。みんなに役立つ知恵袋のような本が欲しいね。
病気を抱えながら少しでも楽しく自由に生きるための269の知恵が集められている。
次々に難題をふりかけてくるこの病気は、打ち負かそうとするのではなくうまく付き合っていかないといけない。
憎たらしいけど、病気を通じていろいろな人と知り合えたことは良かった。