がん患者の就労支援策が注目されている。
女性に多い乳がんの罹患者に向けて、手術で失った乳房の代わりとなる人工乳房の製作者を養成する企業が登場している。
経験を生かした雇用につなげたり、治療時間を確保する社内制度を整えるなど活発に動いている。
以下にまとめる。
池山メディカルジャパン(名古屋市)
平成15年より本格的に作製。
社長の妹が乳がんにより切除したことがきっかけ。
人工乳房は医療用の接着剤で装着するため、温泉やプールに入っても外れない。
31万から95万円程度。
ナチュラルブレスト(福岡市)
フルオーダーメイド。
3Dプリンターを使用して型を作る。
型どりを複数回する必要がなく、製作期間や費用が抑えられる。
完成までに2か月程度。
価格は39万8000円。
独自開発した素材により、入浴とスポーツ以外は接着剤なしで使用できる。
ブレストケア京都(京都市)
人工乳房の装着側にへこみをつけて、傷口に負担がかからないように設計している。
へこみ部分に空気の出し入れができる穴を設けた。
空気調整により形状を体に合わせ、軽量化も可能にした。
価格は28万~約86万円。
現在、製作者を含めて10人いるスタッフのうち、6人が乳がん経験者だ。
林かおり社長は「乳房を喪失した悲しみは想像を絶するほど大きい。
経験者だからこそ、顧客の気持ちに寄り添った対応ができる」
と説明する。
同社は2~3カ月かけて製作技術を学ぶ養成スクールも開校している。
自身の乳房の製作はもちろん、長期治療のために退職を余儀なくされた人も積極的に採用している。
10年後には国外にも製作や販売拠点を設置し、乳がんにかかった人の雇用の拡大を目指している。