がん患者が、抗がん剤治療や放射線治療による「外見上の変化」に悩むことは少なくない。
脱毛や皮膚の変色により、閉じこもりがちになり生活の質が低下してしまうことが多いようだ。
いかに快適に、生活の質を上げ生きていけるように援助すべきなのか。
「化粧」と「アロマ」をキーワードにいくつかの実践を報告したい。
変化に戸惑う
日本対がん協会の調査によれば、「治療中に悩んだ外見上の変化」として以下の項目が挙がった。
・肌のくすみ・色素沈着(最多20%)
・眉やまつげの脱毛(17%)
・爪や指先の変化(15%)
・肌の乾燥(12%)
「眉毛までなくなるとは思わなかった」。
「この姿を見せたくない」と知人の結婚式の参列を断ったこともある。
化粧の力で悩みを軽減
外見上の変化を、「病気だからしょうがない」とあきらめずに化粧でカバーできないか。
化粧品メーカーの資生堂(中央区)は、専用の化粧品を開発するなど、患者の悩みを軽減する取り組みを進めている。
ライフクオリティービューティーセンター
「私らしさが勇気になる」
患者向けのメークアドバイスを個室にて無料で行う。
多くの人が眉頭がわからなくなる
「眉毛がすべて抜け落ちてしまうと眉頭がわからず、どう描いていいのかわからない人が多い。」
とスタッフは語る。
「患者さんから『病気ではあっても、化粧によって病人ではなくなった』との一言が私の宝物です。」
アロマの力で心を落ち着かせる
兵庫県芦屋市
芦屋市立芦屋病院。緩和ケア病棟にてアロマケアを実践。
緩和ケアを併設する病院でボランティアとして活動。
9年間で約1600人のがん患者に寄り添い、現在は約25人のアロマセラピストとともに市立芦屋病院を中心に、化学治療中や緩和ケア病棟でマッサージを施している。
「アロマで病気が治るわけではありませんが、つらい心や悲しみを少しでも解きほぐし癒やす力があるはず」と佐々木さんは熱く語る。
将来、アロマ専門外来を備えた終末期を迎える人たちの病院を建てることが夢だ。
産経新聞より引用。
アロマセラピーの効能
がんなどの緩和ケアにアロマセラピーを活用する動きが広がっている。
植物から抽出された精油による薬理作用や香りのリラックス効果があり、肌に触れられることで痛みやストレスが和らぐ効果も。
患者を見送る家族のグリーフ(悲嘆)ケアにもつながっている。
「いつまで生きられるか分からない心理状態の中で、香りやタッチングの感覚により『今』を安心して感じることができる。
セラピストにこれまでの人生を語る人も多く、心の断捨離にもなる」と強調する。
産経新聞より引用