藤田和子さん。
2019年に成立した、認知症施策推進大網に盛り込まれた当事者の活動に対する支援内容について、大きく関係した一人。
以下にまとめる。
国の支援内容
・認知症の人同士で語り合う「本人ミーティング」の普及。
・認知症サポーター講座で本人が話す体制を都道府県で整備することを検討。
・「認知症とともに生きる希望宣言」を広める本人の活動を支援。
「認知症とともに生きる希望宣言」
「認知症とともに生きる希望宣言」は、
わたしたち認知症とともに暮らす本人一人ひとりが、
体験と思いを言葉にし、それらを寄せ合い、
重ね合わせる中で、生まれたものです。
今とこれからを生きていくために、一人でも多くの人に
一緒に宣言をしてほしいと思っています。
この希望宣言が、さざなみのように広がり、
希望の日々に向けた大きなうねりになっていくことを
こころから願っています。
それぞれが暮らすまちで、そして全国で、
あなたも、どうぞごいっしょに。
日本認知症本人ワーキンググループ
「私の認知症とともに生きる希望宣言」
藤田和子さん
「認知症とともに生きる希望宣言」の内容
私たちは、認知症とともに暮らしています。
日々いろんなことが起き、不安や心配はつきませんが、いろいろな可能性があることも見えてきました。
一度きりしかない自分の人生をあきらめないで、希望を持って自分らしく暮らし続けたい。
次に続く人たちが、暗いトンネルに迷い込まずにもっと楽に、いい人生を送ってほしい。
私たちは、自分たちの体験と意志をもとに「認知症とともに生きる希望宣言」をします。
この宣言をスタートに、自分も希望を持って暮らしていこうという人、そしてより良い社会を一緒につくっていこうという人の輪が広がることを願っています。
認知症とともに生きる希望宣言< 趣意>
1.自分自身がとらわれている常識の殻を破り、前を向いて生きていきます。
* 「認知症になったらおしまい」では決してなく、よりよく生きていける可能性を私たちは無数にもっています。
* 起きている変化から目をそらさず、認知症に向き合いながら、自分なりに考え、いいひと時、いい一日、いい人生を生きていきます。
2. 自分の力を活かして、大切にしたい暮らしを続け、社会の一員として、楽しみながらチャレンジしていきます。
* できなくなったことよりできること、やりたいことを大切にしていきます。
* 自分が大切にしたいことを自分なりに選び、自分らしく暮らしていきます。
* 新しいことを覚えたり、初めてのこともやってみます。
* 行きたいところに出かけ、自然やまちの中で心豊かに暮らしていきます。
* 働いて稼いだり、地域や次世代の人のために役立つことにもトライします。
3. 私たち本人同士が、出会い、つながり、生きる力をわき立たせ、元気に暮らしていきます。
* 落ち込むこともありますが、仲間に会って勇気と自信を蘇らせます。
* 仲間と本音で語り合い、知恵を出し合い、暮らしの工夫を続けていきます。
4. 自分の思いや希望を伝えながら、味方になってくれる人たちを、身近なまちで見つけ、一緒に歩んでいきます。
* 自分なりに生きてきて、これからも、最期まで、自分が人生の主人公です。
*自分でしかわからないこと、暮らしにくさや必要なことは何か、どう生きていきたい
かを、自分なりに伝え続けていきます。
* 私たちが伝えたいことの真意を聴き、一緒に考えながら、未来に向けてともに歩んでくれる人たち( 知り合いや地域にいる人、医療や介護・福祉やいろいろな専門の人) を身近なまちの中で見つけます。
* 仲間や味方とともに私が前向きに元気になることで、家族の心配や負担を小さくし、お互いの生活を守りながらよりよく暮らしていきます。
5. 認知症とともに生きている体験や工夫を活かし、暮らしやすいわがまちを一緒につくっていきます。
* 認知症とともに暮らしているからこそ気づけたことや日々工夫していることを、他の人や社会に役立ててもらうために、伝えていきます。
*自分が暮らすまちが暮らしやすいか、人としてあたり前のことが守られているか、私たち本人が確かめ、よりよくなるための提案や活動を一緒にしていきます。
* どこで暮らしていても、わがまちが年々よりよく変わっていることを確かめながら、安心して、希望を持って暮らし続けていきます。
リーフレット↓(PDF)
http://www.jdwg.org/wp-content/uploads/2018/11/statement_leaflet.pdf
以上、一般社団法人「日本認知症本人ワーキンググループ」
ホームページより抜粋
代表理事「藤田和子さん」
診断後、周囲の反応にショックを受けた。
認知症の人は何もわからない人。
なったらおしまいなど、人として相手にされないと感じた。
例えば、
私がいるのに、私のことについて私にではなく周りの人に尋ねるなど。
病気そのものよりも、周囲の“偏見”によって生きる力を奪われている人が多いのではないか。
家族の夕食を作り続けたいと思っている。
以前は料理が得意で、何品も同時進行で調理できた。
今はできない。
しかし、1品ずつならできる。
認知症でも今ある暮らしを続けていける。
そうしている人も増えている。
著書
「認知症になってもだいじょうぶ! そんな社会を創っていこうよ!」
(徳間書店)
本人ミーティング
仲間と一緒だと前向きになれる。
生活の工夫も共有できる。
引きこもらずに、いろいろな場所に出かけ、人に会い、仲間を増やしていく。
不安は尽きないが、あきらめない。
40~90代の認知症の人が体験や思いを寄せ合って作ったものが、
「認知症とともに生きる希望宣言」