「認知症の人と家族の会」を設立した高見国生さんが執筆している。
認知症の人と家族の悲喜こもごもをよく理解された方のコラム。
以下に紹介したい。
高見国生さんと「認知症の人と家族の会」について
産経新聞コラム「認知症と歩む」には高見さんの半生が紹介されている。
つい先日(2019)75歳の誕生日を迎えた、ほやほやの後期高齢者です。
昭和18年に福井県で生まれましたが、5歳の時に福井地震に遭遇。
倒壊した家屋の下敷きになり両親と家族が亡くなったため、生き残った私と姉は京都にいた2人の叔母夫婦に1人ずつ引き取られて育ちました。
その叔母(養母)が認知症になり、28歳から37歳まで在宅で介護をしました。
当時は介護保険もなく、家族の苦労は大変でした。
そんな中で、55年に「呆け老人をかかえる家族の会」(現・認知症の人と家族の会)を結成し、昨年まで37年間代表理事を務めました。
振り返ってみると、ナント人生の半分を「家族の会」とともに過ごしてきたことになります。
人生は行きがかりと成り行きです。
地震がなかったら京都には住まなかった、養母がぼけなかったら認知症とは関わらなかった…。
つまり、自分の意思に関わりなく発生する事態に対応して生きてきたのです。私くらいの年齢の人はみんなそういう人生ではないでしょうか。
自らがすすんで選んだ道ではないが、お互い真面目に向き合って生きてましたよね。
かつては、社会から見向きもされなかった認知症問題。
今や誰もが関心を持つ時代になった。
認知症と歩んできた人生から私が学んだあれこれをお伝えしましょう。
引用:産経新聞
連載の紹介
認知症全般
認知症の診断について。
認知症の症状や接し方。
年末の記事なので、
介護中の皆さん、今年もご苦労さまでした。「私はよくがんばった」と自分で自分を褒めてください。来年は良い年になるようにお祈りしています。
とおっしゃっています。
認知症の時事問題
認知症の予防について。
「認知症の予防に関する科学的根拠は不十分」。
運動や人との交流は健康や生きがいづくりには有効だが、認知症にならないという保証はない。
「行方不明」について。
防ごうとしても防ぎきれない認知症の人の外出と行方不明。
どちらも家族を責めることはできません。
と指摘している。
家族の気持ち
在宅での介護は無理という前提で対応を考えるべきだと思います。
どうやって女性に納得してもらうか。
それは女性が「ここ(施設)に住んでもいいな」と思うようにすることです。
それには、家族の“説得”より、施設職員の対応の方が効果があります。
プロの人たちの努力に期待しましょう。
家族は、女性の人生や趣味などの情報をたくさん提供し、職員に協力することが大切です。
介護してきたからこその複雑な感情を紹介している。
M子さんが自分の経験から、他の介護家族に伝えたいことは、医師や専門職の言うことをうのみにすることはない。
本人のことを一番知っているのは家族なのだから、疑問に思うことは遠慮せず尋ねて、家族としての希望もしっかり言いましょう、ということでした。
「見て見ぬふりとか、関わりたくないという態度が一番悲しい」とも。
顔見知りの郵便配達の人が、一人で歩いていた夫を見かけて声をかけてくれたときは、とてもうれしかったそうです。
自治体などに望むことは、本人に合った支援をお願いしたいということです。
【プロフィル】高見国生さん
たかみ・くにお 認知症の養母を介護し、昭和55年に「認知症の人と家族の会」を設立。平成29年まで代表を続け、現在は顧問。同会は全国に支部があり、会員数約1万1千人。