はじめに
「ユマニチュード」はフランスで考案された介護の技法のこと。
ユマニチュードは、フランス語で「人間らしさを取り戻す」という意味。
「人間らしさ」を大切に実践される介護技法。
4つのポイントがある。(見る・触れる・話す・立つ)
ユマニチュードまとめ
見る・触れる・話す・立つ、の4つのポイントがある。
正面からしっかり目を見つめる(見る)
あたりまえのことですが、実践できるでしょうか?
「正面」から。
「目をみつめる」。おっかない顔してはダメです。
長い時間瞳と瞳を合わせるということが、正直さ、ポジティブ、愛情を表現する。
穏やかに・ゆっくり・前向きな言葉で話す
相手から返事がなかったり、意図した反応がない場合は、ケアの内容を実況中継する。
「オートフィーバック」
広い面積で、柔らかく、ゆっくり触れる
優しさや愛情を表現する。
敏感でないところから触れる。肩や背中など。
手や顔などは最初には触れない。
立つ(歩く)
立つことで、全身の血流がよくなり、褥瘡(じょくそう)予防になる。
呼吸器・循環器の機能も向上する。
歩ければ、空間認知しやすくなり、知性、社会性の獲得につながる。
人であることの尊厳と誇りを自覚する手段。
NHKハートネット(福祉総合情報サイト)でも紹介されている
前編
後編
具体的に
認知症の人と家族の会顧問の高見国生(たかみくにお)さんが、産経新聞で以下のような事例を紹介されています。
52歳で発症した夫を10年にわたり介護するY子さん。夫は幻視が強く、話がかみ合わず続きません。夫の言うことが理解できず、A子さんの対応が悪いと夫はすぐに怒ってしまいます。「意思疎通ができないのが最大の悩みでした」とY子さん。
Y子さんは、ユマニチュードを知ってから、夫との関係が良くなったと感じている、とお話しされているそうです。
夫の視界に入るようにしてゆっくり話しかけてみたら、いつもと違ったといいます。泣きそうな顔をしている夫に、「一緒に泣こうか」と言ったら素直に「うん」と。「けっして仲の良い夫婦ではなかったのですが、いま心が通ったと思った」そうです。また、最近は走ることはできなくなったので、「二人で歩こうか」といったらこれにも「うん」。
Y子さんは「何事にも意欲的だった以前の夫のままだと思えて、本当にうれしかった」といいます。
そして、高見さんは、
「なんだそんなことか」と思われるかもしれませんが、介護する者はそういうことで元気になり、介護への勇気も奮い立たせることができるのです。
と結んでいます。