認知症施策推進新大網のポイント
・認知症の人が暮らしやすい社会を目指す「共生」と発症や進行を遅らせる「予防」が2本柱。
・予防とは「認知症になるのを遅らせる・進行を緩やかにするという意味」と定義。
・高齢者が体操や趣味を楽しむ「通いの場(かよいのば)」拡充を重要政策の一つに。
参加率を平成29年度の4,9%から8%程度に増やす。
・「認知症バリアフリー」の推進を掲げる。認知症の人が外出しやすいように公共交通事業者に配慮計画作成を義務付ける。
・認知症の人、本人の発信を支援する。
・高齢運転者向けの免許制度創設。
認知症に対する治療とは
認知症に対する有効な治療は確立されていない。
フランスは認知症治療薬物の開発を中止した。
↓読売新聞
↓神奈川県作業療法士会
認知症「予防」に対する患者側の違和感・とまどい
患者本人・家族らは懸念している
・予防が強調されれば「認知症になったらおしまい」といった偏見が広がる。
・「認知症になった人は努力が足りない」と思われるのではないか。
・認知症の人たちへの理解が薄らぐことにつながらないか。
「おれんじドア」代表 丹野智文さんの意見
miyagininntishou.jimdofree.com
政府の認知症施策推進大網は、「予防とは『認知症にならない』という意味ではなく、『認知症になるのを遅らせること』」などと説明しています。
しかしそのように理解できるのは、介護にかかわる専門家のみだろう。
一般の人は「認知症にならないのが予防だ」と受け止めるはずだ。
そして、認知症になったら「進行を抑える」ことを大義名分に、望みもしない予防策が周囲から押しつけられる。国が予防を呼びかけるほど、本人たちは追いつめられることに気づいてほしい。
グルテンフリーとかココナツオイルとか、認知症を防ぐのにいいとうたう食事や商品などの情報があふれている。
勤務先にも以前、キノコが送られてきた。当事者の私に宣伝してほしいのでしょうか。
効く根拠などないのに、こうした予防法に取り組む高齢の人が周囲にたくさんいる。
・毎日計算ドリルをやる。
・100から7を引き、さらに引き続けながらウォーキングしたり・・・。
本人が望んでいるならともかく、家族が無理やりやらせている例が多くある。
本人も「認知症になって迷惑をかけたくない」と我慢してやっているケースが少なくない。さらには、認知症と診断されると「お前は落後者だ」とレッテルを貼られる。
私は記憶力に不自由はありますが、スマートフォンを使い通勤や講演活動など、どこへでも出かけていきます。
地震発生を防ぐことはできませんが、揺れや津波による被害をあらかじめ予測し備えることはできます。認知症も同じです。
認知症になっても変わらない暮らしができるように備えておくことで、不安を減らせます。予防よりこうした備えへの支援にこそ、力を入れてもらいたい。
そのためにも、当事者の話をもっと聞いてほしい。
笑顔で人と交わることは、認知症になってからも気持ちを安定させ、周囲と支え合いを続けることにつながるでしょう。
本人が楽しんでやっているのであれば、それも備えだと言えるはずです。
佐藤雅彦さんの意見
フェイスブックで毎日発信している。
認知症本人の会代表。
「認知症になっても、不便ではあるが不幸ではない」
「予防」という言葉に違和感を抱いている。
予防を怠ったから認知症になったのではない。
認知症でも希望をもって生きられる社会をつくることに政策の軸足をおいてほしい。
東京都健康長寿医療センター研究所 栗田主一研究部長
「認知症にならない社会をつくる、という誤ったメッセージになる」と警鐘を鳴らす。
高齢になれば生活に支障がでるのは自然なこと。
認知症は単に病気とは片付けられないが、防げる、治せるという医療的な考えに素案は偏っている。