はじめに
若年性認知症とは、18歳から64歳までの若年~壮年にかけて発症する認知症の総称です。
認知症というと、高齢者を連想しがちですが、40代~50代の働き盛りの世代でも発症します。
早期診断の難しさや、支援の少なさも指摘されています。
現状と対応策について以下にまとめます。
診断が遅れがち
仕事や家事でミスをするようになっても、認知症のせいだとは思わず受診につながりにくい。
働く世代であれば仕事に支障が出てくるため、自分で異変に気が付きやすいはずである。
しかし「まさか自分が認知症?」とは思わず、医療機関の受診が遅れることも多い。
発症年齢が若く男性に多い
若年性認知症の全国調査はまだ行われていない。
5県2市に地域を限定した厚生労働省の調査(2009年)によれば、発症年齢の平均は51,3歳。
人口10万人あたりの有病率は、男性57,8人。女性36,7人。
男性が多い。
早期診断(受診)が難しい
数年前から自覚症状や大きな失敗を繰り返すことが多い。
しかし、まさか「自分が認知症になる」とは思わず、家族や職場の上司などに促されて医療機関を受診することも多い。
周囲の方に気が付かれる症状があれば、進行している可能性がある。
また、発症初期に受診できても、内科や神経内科ではわからないこともある。
初期の症状は、もの忘れよりも、性格の変化やうつ病のような症状が目につくことも多いため精神障害と間違われるケースもある。
認知症疾患医療センターなどの専門医の受診が大切な対応。
www.fukushihoken.metro.tokyo.jp
↑東京都の例です。
各都道府県に設置されています。
若年性認知症の専門医・相談先
原因が多彩
脳梗塞などの脳血管性が多い。全体の約40%。
アルツハイマー型が約25%。
頭部外傷後遺症が約8%。
経済的な問題が大きい
家計を支える現役世代が発症するため、職を失うと経済的に困窮(こんきゅう)*1する。
さらに、社会的に孤立しやすく自己効力感も失いやすい。
子どもの教育など人生設計にも影響する。
経済的な社会保障について
要件を満たせば傷病手当金や障害年金、雇用保険の失業給付を受け取れる場合もある。
認知症ハンドブック
↓PDFファイルです。
認知症介護研究・研修大府センター(愛知県)
若年性認知症コールセンター
就労支援も手探り
退職してしまう人も多い
若年性認知症に理解のある会社を探して勤務することが多い。
進行を防ぐためにも、仕事を続け社会との接点を持ち、人と接する機会を確保した方がよい。
就労支援には東京都のハンドブックが良さそうです。
↓
www.fukushihoken.metro.tokyo.jp
家族の介護負担が大きい
親の介護と重なると負担が大きい。
介護で配偶者が働けなくなる可能性もある。
居場所つくり・役割の確保が難しい
40歳以上の若年性認知症患者は、介護保険サービスの利用が可能である。
しかし、介護保険のデイサービスなどは高齢者を中心とした運営がなされているため、若い世代にはなじまない場合も多い。
若年性認知症に特化したデイサービス
読売新聞にも紹介されています。
↓
「体力もありサービスを受けるばかりでなく、役割を持つことを望む人は多い。地域貢献とリンクすることで、「役に立ちたい」という思いに寄り添うことができれば」
けやきの家 管理者
引用:読売新聞
まとめ
主な相談窓口
①若年性認知症コールセンター
0800・100・2707(月~土10時~15時)
0120・294・456(月~金10時~15時)
③若年性認知症サポートセンター
03・5919・4186(月・水・金10時~17時)
④近くの地域包括支援センター
⑤自治体の高齢者福祉相談窓口
*1:追いつめられる・困る