はじめに
AYA世代は、15歳から39歳までの思春期と若年成人のことを指している。
AYA世代のがん患者には進学、就職、結婚、子育てなど中高年とは違った課題が存在する。
働き盛りの36歳で精巣がんと診断された永江耕治さんについて調べました。
診断・経過
平成22年の夏。36歳。
運動不足解消のためトライアスロンの大会出場の練習をしていた。
自転車に乗ると違和感があったが、数日たっても痛みが消えなかった。
泌尿器科を受診し、単なる炎症だろうと言われたが、念のため腫瘍マーカー検査をしたら「精巣がん」であった。
医師より、「できるだけ早く手術をした方がいい」とのことで、当日手術になった。
ステージ2.明らかな転移の形跡なし。
抗がん剤治療へ。
家族への対応・思い
意外にもがんということは冷静に受け止めることができた。
しかし、同時に「妻と娘を残して死ねない」と思った。
娘は当時3歳。
父親としてまだ娘に生きる術を教えていない。
仕事・人生の気づき
診断当時、執行役員だったので復職の心配はありませんでした。
それでも治療の先行きも見えない中、社会復帰できるかどうか不安があった。
このような心境・状況の中、娘と公園に行って遊んでいても、スマホを片手に仕事をしてしまう。
せっかく一緒にいるのに子供と過ごしていない。
「今」を生きていないと気づいた。
復職後
深夜まで働くのをやめた。
会社の経営側にいる。
経営とがん患者を両方経験しているからこそ言えることがある。
治療のためにも時間の融通が利くことが大切。
しかし、制度だけでなく個人の部分も大切ではないか。
病気になる前から、会社と良い関係を築いておけば、「戻ってきてほしい」と思ってもらえるし、周囲のサポートもある。
家族と過ごす時間を増やした。
最近は子供も大きくなったので、妻と2人で話す時間を大事に、外食やお茶の機会を持つようになった。
伝えたいこと
もともとツイッターを使っていた。
「がんになる前よりも、なった後の方がよりよい人生にすることができる」ということを伝えたい。
まだなだ「がんイコール死」というイメージが強い。
大変な病気で困っている方もいる。
一方、がんになった後も充実した人生を送る人もたくさんいる。
なのに、元気に過ごしている人があまり表に出てこない。
充実した人生を伝えたい。