はじめに
高校受験を控えた中学生が大きな病気などで入院や治療を余儀なくされた場合、病院内での受験を申請することができる。
治療が長期になる場合もあり、入学後の学習環境の配慮や工夫もセットで考える必要がある。
京都大学医学部附属病院での事例
京都大学医学部附属病院内にある院内学級、市立桃陽総合支援学校。
公立中学3年女子生徒の5月に急性白血病で入院、転籍。
タブレットでの学習環境も整えられていたが、治療の副作用(抗がん剤・ステロイドなど)により「勉強する気にはなれなかった」。
教室と映像でつないだら意欲がわいた
総合支援学校指導部教員が、元いた中学校の担任に相談し、職員室から教室までを映像でつないでもらうと、まだ女子生徒の机はそのままであった。
「生徒会室も見たい」と女子生徒。
翌日、生徒会室につなぐと、みんなが寂しかったことや相談事など話してくれた。
当初、副作用により髪が抜け顔もはれており、姿を映さないでと言っていたが、「映して」に変わった。
「一緒にしゃべりたくなった、本当に元気になった!」
「みんなと同じ学年で高校に入りたい」
高校受験時の配慮
元の中学校、支援学校、主治医がテレビ会議で相談。
通常の入試日程での受験は厳しかった。
受験予備日をめざして、ギリギリ体調を整えて院内受験。市立高校に合格。
「不合格だったらどうすればいいか情報もなかった」と母親。
広島大学医学部附属病院での事例
広島県立高校を院内受験した。
主治医:病状や院外に出られない状況を書面にまとめる。
元の中学校:出願時に志望先の高校へ「特別措置願」を提出。
病院内での受験が認められる。
受験時の配慮
病院が、館内放送が入らない会議室を準備。万が一の体調悪化に備え簡易ベットも用意する。
試験官として、志望校の教師が病院に来た。
現在の配慮
治療は続くため、病室に高校の教科書を並べ、課題に取り組んでいる。
期待されている教育
遠隔教育
カメラとマイク、スピーカーを備えた人型ロボット
「OriHime」オリヒメ
教室にオリヒメを置き、病院に中継して授業に参加する。