はじめに
小児がん治療は、患者数が少ないので治療拠点が遠方であることも多く、患者や及び保護者の負担が重くなりがちである。
生活の拠点を複数持つ必要もあるため多くの課題を同時に抱えてしまう傾向が強い。
「もう一つの課題」といわれる、きょうだいのことについて考察する。
きょうだいが感じる気持ち
親に甘えたいのに我慢を強いられる。
自分のことを見てもらえないと孤立感を覚える。
6歳上の兄の付き添いで母が家におらず、毎日さみしい気持ちでいっぱいでした。母と一緒に病院に行った際に「少しの間待っていてね」と言われ、大きな扉の前で待った永遠とも思える時間を私は忘れないでしょう。
(東京都の20代女性)
母が家で泣いていることもありました。肩をもんであげたり話を聞いたりするのですが、無力感も同時に味わいました。妹が12歳で他界した時、私は高校1年生でした。
(神奈川県の20代男性)
長男が(小学校就学前に)脳腫瘍になったとき、長女は小学2年生。息子が生きるか死ぬかの極限状態の中、娘のことを考える余裕はありませんでした。長女は思春期に突入すると「弟がいればいいんでしょ。私なんかいらないんでしょ!」。
10年たって当時に思いをはせることができるようになり、落ち着きました。
(宮城県の40代女性)
きょうだい支援のガイドライン
「がんの子どもを守る会」により作成。
小児がんの子どものきょうだいたち
https://www.ccaj-found.or.jp/wp-content/uploads/2012/03/b53c210e569c863fe0e1be5d978923812.pdf
取り組み
聖路加国際病院小児科
小沢美和医師
きょうだいが病院に来た時、「○○君のお兄ちゃん・お姉ちゃん」でなく、その子の名前で呼びかける。
どういう事態に直面しているのか理解するのに必要な情報がきょうだいに伝わるように親にアドバイスする。
「あなたが元気に学校に行って友達と遊ぶことでご両親はうれしいし、感謝していると思う」と直接伝えることもある。
病院内活動・プログラムの充実
「実験教室」「病院探検」
きょうだいが主役になれることも考案。
自分のせい
「弟が病気になったのは私のせい」
「あんなこと言ったからお姉ちゃんが死んじゃった」
きょうだいは誰でも一度は上記のようにを考え自分を責めるという。
「私は悪い子」の感情はすぐにはなくならない。
集まりを通してそういう気持ちになるのは自分一人ではないと知ることができる。